新型コロナウイルス(Covid-19)感染に関して、皆さま、不安な方も多いと思います。感染症の診療機会が多い小児科医の立場から、現時点で厚生労働省や日本小児科学会等から発信されている情報をまとめてみましたので、ご参考にして下さい。
1、潜伏期間:1~12.5日(多くは5~6日)とされています。2週間以内に感染の可能性がある方との濃厚接触等の機会が無ければ、まずは心配ないと思われます。
2、感染経路:現時点では、飛沫感染、接触感染が報告されていますが、明らかな空気感染は証明されていません。空気感染はマスクしていてもうつる可能性がある感染のことで、一部で空気感染が確認されているインフルエンザや、空気感染が確認されている、はしか(麻疹)、水痘、結核よりは感染しにくいだろうと考えます。
3、重症化について:高齢者や基礎疾患のある方(喘息や心疾患)は、感染により重症化リスクが上がると考えられていますが、元気な成人や小児では現在のところ重症化リスクは高くないようです。軽症では風邪程度、少し重い場合でも肺炎程度までで治癒する傾向が多いようです。
4、現状と受診について:三重県内の発生状況は、1月末に発症した方が2/17退院後、発症はなかったのですが、最近1名中部空港で発症した方がみえたようです。現状では周辺にCovid-19感染がいる可能性は非常に低く、当院では通常通り受診して頂いております。
厚労省から呼吸症状と37.5℃以上4日間以上の発熱があれば相談センターに相談をする基準がありますが、日本小児科学会の考え方としては、小児の場合は、”風邪”の多くがこれに当てはまるため実際的ではなく、相談センターが混乱する恐れがあるとしています。小児であっても、濃厚接触者や健康観察対象者であれば、症状がある場合にまずは相談センターに相談して下さい(伊勢保健所:0596-27-5137)。これに該当しない方は通常通り受診して頂いて大丈夫です。
5、最後に:新しい感染症、情報が少ない感染症で、連日報道され、皆さま不安を抱えてお過ごしかと思います。総じて、①新しい感染症ではあるが、特別に重症化しやすい、または感染しやすい感染症ではなさそう。②現状、三重県から外に行く機会が少ない方は、接触する機会もほとんどなく、接触がないのに急に発症する病気ではないこと、は言えそうです。
引き続き、①人が多く集まる場所には極力いかない。②外に出る時はできるだけマスクや手洗いを励行する、といった基本的な感染予防は重要と思いますが、必要以上に混乱はせず、冷静に対応して頂ければと思います。
学校も休校になり、日常生活はまさに大変と思います。当院でお力になれることがあればご相談ください。一日も早くコロナ関連の混乱が終焉することを願っています。