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ワクチンがなぜ必要なのか?

 乳幼児期の子どもは免疫(病気に対する抵抗力)が未発達なため、さまざまな感染症にかかります。そして感染していくことで免疫をつけながら成長していくのです。でも、子どもがかかりやすい感染症は、かぜのように軽いものだけではありません。中には、確実な治療法がなくて、深刻な合併症や後遺症をおこしたり、命を落としたりする危険がある病気もあります。そうした感染症は、かからないようにまず予防することが大切です。そこで、重篤な感染症を予防するのに、安全で確実性の高い方法が、ワクチンの接種です。ワクチンは、病気を防ぐために必要な免疫を安全につける方法です。ワクチンを接種することで、子どもたちを病気から守ることができます。(https://www.know-vpd.jp/vc/vc_hlth.htm

 日本のワクチンの歴史の中で代表的な成果をあげたワクチンに、ポリオがあります。ポリオウイルスに感染した場合、多くは症状が出ないか、出てもかぜのような症状だけですが、約1,000~2,000人に1人は手足にまひが出るとされています。日本でもかつて大流行したことがあります。その時は母親たちがマスコミとともにポリオ撲滅の大活動を行いました。その結果、輸入に消極的だった当時の政府がポリオの生ワクチンを緊急輸入して子どもたちに投与しました。するとまたたく間に流行がおさまりました。子どもを守りたい母親たちが、子どもにワクチンを与えてほしいと活動した時代があり、それが一つの感染症の流行を終わらせる結果につながったのです。

 ワクチンには、接種した方が病気にかかることを予防するだけでなく、人に感染させてしまうことで周囲に病気が広がるのを防ぐ目的があります。 海外の保育所では、必要な予防接種歴または免疫の確認が出来ないと入所出来ない場合があります。これは集団活動の中で、個人の健康だけでなく、集団感染のリスク軽減を目指しているからだと思います。 コロナが流行したことで、ワクチンと集団感染予防の意義は皆さん経験されたとは思いますが、それでもワクチンに抵抗を覚える人が一定数みえるのも事実です。こうしたワクチンを避けたい方も色々な経験やお考えのあることなので尊重されるべきですが、意見の出来ない子供たちには影響しないようにお願いしたいなと思います。

 先日、医療系の大学に所属する20歳ぐらいの女性が、臨床実習を始める前の抗体検査とワクチン接種希望で受診されました。水ぼうそう以外のほぼ全てが抗体陰性でした。聞けば、ご家庭がワクチン接種をしない方針で、水ぼうそうはかかったことがあるけど、これまでにワクチンを受けたことがないとの事でした。結局全ての必要なワクチンを数万円自費で払って接種されました。これらは全て赤ちゃんの時に接種していたら無料で済んだワクチンでした。この方は幸いこれまでにワクチンで予防できる大きな病気にはかかっていないようでしたが、運が悪ければかかっていた可能性もあります。おたふく風邪は大きくなってからかかるとキツイですし、麻疹や結核は命に関わる場合も稀ではありません。

 予防接種が必要な赤ちゃん達は意思表示が出来ません。将来医療系に進む可能性もあります。子供たちのために親がしてあげられる大切なプレゼントとして、ぜひワクチンで子供を病気から守ることを考えてあげて下さい。