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子どもの花粉症と花粉‐食物アレルギー症候群
いよいよ花粉症の季節がやってきました。三重県のスギ花粉症の有病率は47.0%(2019年の全国疫学調査)で、およそ2人に1人はスギ花粉症ということになります。
なかでも子どもの花粉症は年々割合が増加していて、幼児から学童期の花粉症有病率は30~50%という報告もあります(日本アレルギー学会)。一方、花粉症有病率が 4か月0.0%、1歳5か月0.0%、3歳4.0%という報告(石川県)があり、赤ちゃんではほとんど花粉症はありません。実際、当院でも花粉症を発症して治療が必要になるのは、早くても2歳以上のお子さんです。2歳未満のお子さんで鼻水が目立つような場合はほとんどが風邪と考えて良いと思います。
次に花粉症の症状ですが、粘膜のかゆみ症状がメインになります。くしゃみ、鼻水(ほぼ透明)、鼻づまり、目のかゆみが主な症状で、ときどき皮膚や耳の中、喉の奥までかゆがる方もいます。かゆみが強い場合は花粉症を考え、咳が目立つ場合や熱がある場合は感染症を考えます。時々両方混じっている場合もあります(花粉症の方が風邪をひく場合もあります)。時間帯は、朝よりも暖かくなる日中の方が花粉が飛びやすいため、昼から夕方に外で遊んできた子どもや学校帰りの子どもが発症することが多く、衣服に着いたり布団を干したり窓を開けていたりすると、夜から朝にかけて発症する人もいます。
これらの情報を問診で聞き、診察して、花粉症と診断できる人はそのまま治療を行います。スギ花粉症は、季節性がわかりやすく典型例が多いので検査をすることは少ないですが、診断がはっきりしない場合は必要な検査を行う場合もあります。花粉症とわかるような方であれば、親御さんの処方も可能ですのでご希望があれば受付でお伝え下さい。
花粉症の患者さんが、ある特定の果物を食べて症状があらわれる場合は「花粉₋食物アレルギー症候群」の可能性があります。「花粉₋食物アレルギー症候群」は、花粉に対するアレルギーがある患者さんで、花粉と果物のアレルギー成分が似ているために交差反応を起こして、果物を食べたときにアレルギー反応が起こり、口のかゆみやイガイガ、チクチクとした痛みが生じることがあります(日本アレルギー学会)。スギ花粉とトマト、シラカンバ属バラ科とリンゴ、モモ、イチゴ、ビワなど、ブタクサとバナナ、大豆ともやしなどです。これらは花粉の少ない時期は食べられるのですが、花粉症の症状が強い時期は食べると口の中が痒くなったりひどい場合は粘膜が腫れて息苦しくなる場合もあります。こうした特定の果物で痒み症状が強くなるケースは、安全のためにも採血で確認した方が良い場合があるのでご相談ください。